Techtouch Developers Blog

テックタッチ株式会社の開発チームによるテックブログです

優れたPMになるために必要な「プロダクトセンス」と「システム化とアドリブの使い分け」

アドベントカレンダー24日目を担当するShuです。
プロダクトマネージャーの皆さん、普段利用する道具を自らでデザインしていますか? Uenoさんのツイートから引用させていただきますが、「Use to make」することは知的生産することと同等に重要かつ魅力的な行為であり、プロダクトマネージャーとして必要な感性を磨いてくれる!と私は考えています。

そんな私は最近社内の人に教えてもらった「Raycast(ランチャーツール)」を拡張して、Scrapboxの記事をRaycastから検索できるようにしました。Raycastの機能そのものにも感動したのですが、ユーザー自身が好きに”デザイン”できるようになっている設計にとても魅力を感じましたので、是非興味ある人は利用してみてください!(OSS最高🎉)

関係ない前置きが長くなってしまいましたが、これより本編です。

はじめに

本日お話したいことは、プロダクトマネージャーとして重要な「プロダクトセンス」と「システム化とアドリブの使い分け」についてです。 1年前の2021年12月にプロダクトマネージャー(以下、PM)にジョブチェンジし、どうすればPMとして活躍できるか?どういった能力が重要になるか?を考え続けました。勿論、土台となるパッシブスキルの高さや経験の豊富さが重要ですが、活躍されているプロダクトマネージャーを見ていると上記2つがとても重要であることに気づきました。 そのため今回は、「プロダクトセンス」と「システム化とアドリブの使い分け」の重要性について私なりの見解をお話していきたいと思います。

プロダクトセンス

私が考えるプロダクトセンスとは、「不確実性が高い中で筋のよい仮説を立てられる力」です。「筋のよい仮説」とは「真の課題や論点に当たりをつけられている仮説」を指します。そのため、プロダクトセンスは仮説思考力の発展的なもので、先天的な才能ではなく後天的に向上させることができる能力であると考えています。

なぜ重要なのか?

理由は以下2つです。

  1. 限られた時間の中で本当に解かなければいけない課題を見つけ出すため
  2. 不必要な開発や手戻りを減らすため

反対にプロダクトセンスがなければ、しらみつぶし的なやり方で課題を洗い出すため、それなりの時間を要してしまい、素早い検証と意思決定を行うことができません。そのため、プロダクトセンスはPMが身につけるべき重要な能力の1つだと言えます。
ただ前提として、不確実性は定性・定量の情報を用いて可能な限り下げることが望ましいですし、”当たりをつける”といっても非論理的なアプローチが許されるわけではありません。また、課題の内容やリスクがある要件においては慎重に網羅的なやり方が好ましい場合もあります。

発揮される場面

ユーザーの課題が複雑かつ複数の解決策があるケースにおいてとても有効的に発揮されます。 皆さんもご経験があるとおもいますが、課題が複雑であればあるほど機能仕様も複雑になったり、開発スコープが広がってしまいがちです。しかし、プロダクトセンスがあればmust haveの機能仕様に絞り込むことができたり、本用途とは異なりますが既存機能で解決できたりすることがあります(このことをテックタッチでは、”生活の知恵”と呼んでいます)。

システム化とアドリブの使い分け

次に、「システム化とアドリブ」についてお話します。 「システム化とアドリブ」という概念については深津さんの「図解 システム化とアドリブのよい使い分けとは?」という記事でかなりわかりやすくご解説頂いています。
(以降、お読み頂いた前提で話を進めます) note.com

なぜ重要なのか?

そもそもプロダクトマネージャーの役割は「プロダクトの成長に責任をもつこと」であり、成長できるようなシステム設計を考えなければいけません。しかし、世の中のシステムの大半はユーザーの利用方法・場面・環境が多種多様で凹凸になっており、そんな中でプロダクトを成長させるためには絶対に「システム化とアドリブの使い分け」が必要です。この能力が欠けていると高度なソリューションを用いてもPdMの役割である「プロダクトの成長に責任を持つ」を達成できなくなります。

発揮される場面

事業形態がToC・ToBに関わらず、仕様書の策定や開発へ踏み切る際に発揮されます。 課題がある程度見えてきた段階ですぐにソリューション化するのではなく、まずはオペレーション上で試してみたり、プロトタイプをお客さんへ当てることで勝ちパターンを探るようにします。そして、勝ちパターンが見えてきたらプロダクトとして開発する(システム化)、特定ユーザーだけのニーズであればプロダクトとしては開発せずオペレーションで対応する(アドリブ)など、適切な選択肢を取ることが可能になります。 まさにこれが深津さんが提唱している以下のアプローチであり、活躍されているプロダクトマネージャーはこれらを駆使してサービス設計をされています。

(画像出典:深津 貴之 (fladdict) 「図解 システム化とアドリブのよい使い分けとは?)
(画像出典:深津 貴之 (fladdict) 「図解 システム化とアドリブのよい使い分けとは?)

おわりに

本日お話した「プロダクトセンス」と「システム化とアドリブの使い分け」は一長一短で身につくものではなく、土台となるパッシブスキルが磨かれてこそだと思います。私自身もまだまだ発揮できるものになっていないため、いち早く自分のものにしてプロダクトの成長に貢献できるプロダクトマネージャーになりたいと思います。
p.s 来年は投稿間に合わせられるようにします orz